法人融資とは?銀行・公庫の種類、審査・金利・必要書類までわかりやすく解説

法人融資とは?銀行・公庫の種類、審査・金利・必要書類までわかりやすく解説

法人が事業資金を調達するとき、まず検討したい方法のひとつが「融資」です。

ただし、法人向け融資には、銀行から直接借りるプロパー融資だけでなく、信用保証協会付き融資、日本政策金融公庫の融資、銀行やノンバンクのビジネスローンなど複数の選択肢があります。

結論からいうと、すべての法人にとって最も借りやすい融資や、最も有利な融資が一つに決まっているわけではありません。

創業直後なのか、数期の決算実績があるのか、運転資金なのか設備資金なのか、必要な金額や資金が必要になる時期などによって、適した融資は変わります。

特に法人融資では、単純に「審査が甘い金融機関」を探すよりも、自社の状況に合う融資制度を選び、必要資金と返済可能性を数字で説明できる状態にすることが重要です。

この記事では、法人が利用できる主な融資の種類から、金利、融資可能額、審査、必要書類、創業直後の融資、代表者保証、急いで資金を調達したい場合まで順番に解説します。

※制度・金利・商品条件などは2026年9月時点で確認しています。実際に申し込む際は、各金融機関・日本政策金融公庫・信用保証協会等の最新情報をご確認ください。

法人融資とは

法人融資とは、株式会社や合同会社などの法人が、事業に必要な資金を金融機関などから借り入れることです。

代表的な資金使途は「運転資金」と「設備資金」に分けられます。

資金の種類主な用途
運転資金商品・材料の仕入れ、人件費、家賃、外注費、広告費など
設備資金店舗、工場、機械設備、車両、IT設備など

融資は出資とは異なり、借りたお金を契約に従って返済し、原則として利息も支払います。

一方で、株式による資金調達のように持株比率が変わるわけではありません。そのため、必要な資金を確保しながら経営権を維持できることは、融資による資金調達の大きな特徴です。

ただし、「借りられる金額」ではなく「事業から返済できる金額」で考える必要があります。

法人が利用できる主な借入先・融資方式

法人融資にはさまざまな方法がありますが、「どこから借りるか」「信用保証協会の保証を付けるか」「担保を設定するか」など、複数の観点があります。

そのため、単純に一つの基準で分類するのではなく、主な借入先・融資方式を整理して理解することが大切です。

主な借入先・融資方式特徴向いているケース
日本政策金融公庫政策金融機関による融資創業期、小規模事業者、新事業など
銀行・信用金庫のプロパー融資金融機関が直接リスクを負って融資業歴・財務実績のある法人
信用保証協会付き融資信用保証協会が金融機関の融資を保証中小企業、初めて銀行融資を受ける法人など
自治体の制度融資自治体・金融機関・信用保証協会などが連携創業者、中小企業、地域の支援制度を活用したい法人など
ビジネスローン・オンライン融資手続きや審査が比較的スピーディー急ぎの運転資金、少額・短期の資金需要など

それぞれ詳しく見ていきましょう。

日本政策金融公庫の法人向け融資

創業直後や小規模企業が最初に検討したい選択肢のひとつが、日本政策金融公庫です。

日本政策金融公庫は、民間金融機関の金融を補完する政策金融機関で、小規模事業者や創業者向けにもさまざまな融資制度を設けています。制度ごとの特徴や審査、申込手続きについては、日本政策金融公庫の融資制度や審査・申込の流れで詳しく解説しています。

代表的な「新規開業・スタートアップ支援資金」は、新しく事業を始める人または事業開始後おおむね7年以内の事業者が対象で、2026年9月時点の融資限度額は7,200万円です。返済期間は設備資金20年以内、運転資金10年以内となっています。

特に創業期、つまり新たに事業を始める場合または税務申告を2期終えていない場合には、原則として無担保・無保証人で融資を利用でき、適用利率も原則0.65%引き下げられます。雇用拡大を図る場合は0.9%の引下げです。

「法人を設立したばかりだから決算書がなく、融資を受けられない」と考える方もいますが、創業者向け融資は、まさに決算実績が十分にない事業者を含めて対象とする制度です。

その代わり、過去の決算実績だけでは判断できないため、創業者本人の経験、事業内容、売上の根拠、必要資金、自己資金、今後の収支計画などが重要になります。

創業融資に「自己資金10%」は現在も必要?

以前の「新創業融資制度」では自己資金に関する要件があったため、現在でも「創業資金の10分の1以上の自己資金が必要」という情報を見かけることがあります。

しかし、現在の日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」の利用条件には、一律に「自己資金10%以上」という要件は記載されていません。

ただし、だからといって自己資金が重要でなくなったわけではありません。

日本政策金融公庫の創業計画Q&Aでも、借入だけに依存せず、自己資金とのバランスを考えた余裕のある資金計画が重要と説明されています。

「最低何%必要か」という形式的な数字だけを見るのではなく、どのように資金を準備してきたのか、その事業計画に無理がないかという視点で準備しましょう。

信用保証協会付き融資

中小企業の銀行融資で広く利用されているのが、信用保証協会付き融資です。

信用保証協会が法人の債務を保証することで、銀行や信用金庫などが融資をしやすくする仕組みです。

金融機関がすべての信用リスクを負担するプロパー融資と比較すると、設立から間もない会社や中小企業でも検討しやすいケースがあります。

ただし、信用保証協会付き融資では通常、金融機関による審査に加えて信用保証協会の審査が行われ、保証料も発生します。

「保証協会が保証するなら必ず借りられる」というものではありません。制度上の対象であっても、金融機関・信用保証協会の審査によって希望どおりにならない場合があります。

なお、返済が困難になり信用保証協会が金融機関へ代位弁済した場合でも、法人の返済義務そのものがなくなるわけではありません。信用保証協会は事業者等に対して求償権を取得するため、その後は信用保証協会に返済していくことになります。

モニタリング強化型特別保証制度とは

2026年3月16日からは「モニタリング強化型特別保証制度」も開始されています。

認定経営革新等支援機関と連携して月次で財務・資金繰りの状況を把握し、一定の要件を満たす中小企業者を対象とする制度で、保証限度額は2億8,000万円です。

2026年3月16日から2027年3月31日までの保証申込分については、一定の保証料補助も設けられています。

すべての法人が利用する制度ではありませんが、資金繰り改善や設備投資などを検討している場合には、金融機関や認定経営革新等支援機関へ対象になるか確認する価値があります。

自治体の制度融資

自治体の制度融資は、自治体・金融機関・信用保証協会などが連携して、創業者や中小企業の資金調達を支援する仕組みです。自治体によっては、金利や信用保証料などの負担を軽減する措置が設けられている場合があります。

利用条件、融資限度額、金利、保証料の負担軽減措置などは自治体ごとに異なるため、事業所所在地の自治体や取扱金融機関の最新情報を確認しましょう。

銀行のプロパー融資

プロパー融資とは、信用保証協会の保証を付けず、銀行や信用金庫などが自ら信用リスクを負担して行う融資です。

保証協会を利用しないため信用保証料は発生せず、金融機関との関係が深まれば金額や返済期間などについて柔軟な提案を受けられる場合があります。

一方、金融機関側が直接貸倒れリスクを負うため、一般的には決算実績、財務内容、返済能力、取引実績などがより重要になります。

創業直後の法人がいきなり大きなプロパー融資を受けることだけを目標にする必要はありません。

まず日本政策金融公庫や信用保証協会付き融資を活用し、返済実績や金融機関との取引を積み重ね、将来的にプロパー融資を含めた選択肢を広げるという考え方もあります。

ビジネスローン・オンライン融資

銀行やノンバンクなどが提供する法人向けビジネスローンは、手続きの簡便さや融資スピードを重視する法人に利用されています。

近年は、銀行口座の入出金データなどを利用して融資条件を算出するオンライン型の融資もあります。

たとえばPayPay銀行の法人向けビジネスローンは、2026年9月時点で金利年2.2%~14.0%、利用限度額最大1,000万円です。原則書類不要で申し込みができ、来店も不要ですが、同じ事業内容で会社の業歴が2年以上または決算を2期終了していることなどの条件があります。

また、ドコモSMTBネット銀行の「事業性融資dayta」は、一定条件を満たす法人口座利用者に借入条件を提示する仕組みで、決算書などの提出を必要とせず、オンラインで手続きできます。2026年9月時点では借入可能額50万円~3,000万円、担保・代表者保証とも不要で、条件を満たせば最短当日の借入が可能とされています。

ただし、こうしたサービスは対象者や返済期間、金利設定がそれぞれ大きく異なります。

「早く借りられる」という一点だけではなく、借入期間全体で支払う利息や手数料まで含めて比較することが重要です。

不動産などを担保にした法人融資

担保の有無は、ここまで紹介した借入先・融資方式とは別の分類軸です。法人や代表者が所有する不動産などを担保として融資を受ける方法もあります。

十分な担保価値があれば、無担保融資より大きな資金を調達できる可能性があります。

一方、返済ができなくなれば担保を処分される可能性があります。

特に事業に不可欠な本社・工場・店舗などを担保にする場合は、「借りられるか」だけでなく、返済できなくなった場合に事業へどのような影響が出るかまで検討したうえで判断することが必要です。

法人融資はどこから検討すればいい?

法人融資は金融機関名から選ぶより、「現在の会社の状況」から候補を絞ったほうが整理しやすくなります。

法人の状況主に検討したい融資
これから創業する・設立直後日本政策金融公庫、自治体制度融資、信用保証協会付き融資
決算実績がある中小企業銀行・信用金庫、保証協会付き融資、プロパー融資
設備投資を予定している日本政策金融公庫、銀行融資、保証協会付き融資
急ぎで運転資金が必要既存取引銀行、オンライン融資、ビジネスローン
不動産などの資産がある担保付き融資も含めて比較
既存借入の負担が大きい借換え、条件変更、経営改善支援制度などを検討

特に資金調達を急いでいない場合は、金利が高めになりやすい短期融資へいきなり申し込むのではなく、日本政策金融公庫や日頃取引している金融機関にも相談し、複数の選択肢を比較することが大切です。

法人融資の金利相場はどのくらい?

法人融資の金利は、金融機関、融資制度、借入期間、信用力、担保、保証、借入額などによって異なります。

そのため「法人融資なら年○%が相場」と一律に決めることはできません。

参考として、日本銀行が公表する2026年7月の国内銀行における新規貸出約定平均金利は、短期1.388%、長期1.895%、総合1.706%となっています。

ただし、この数値は国内銀行の新規貸出全体を集計した統計であり、「中小企業なら1.706%で借りられる」という意味ではありません。

企業ごとの信用力や借入期間によって実際の提示金利は異なります。

日本政策金融公庫の国民生活事業では、2026年9月1日時点で、税務申告を2期終えている事業者が無担保で利用する場合の基準利率は年3.80%~5.40%です。制度や条件によって特別利率が適用されるほか、創業期には利率引下げ制度もあります。

このように、「公的融資だから必ず銀行より低金利」「銀行だから必ず公庫より高い」と単純には比較できません。

金利だけでなく、信用保証料、事務手数料、返済期間、繰上返済条件なども含めた総コストを見ることが重要です。

法人はいくらまで融資を受けられる?

法人融資には、すべての会社に共通する「売上の○倍まで」「年商の○%まで」といった一律の上限はありません。

金融機関は、必要な資金の根拠と返済可能性を確認したうえで融資額を判断します。

そのため、商品上の「融資限度額」と実際に自社が借りられる金額は別物です。

たとえば日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金の融資限度額は7,200万円ですが、申請すれば7,200万円を借りられるわけではありません。

必要資金が800万円なら、「なぜ800万円必要なのか」「自己資金はいくらあるのか」「800万円借りた場合にどのように返済するのか」を説明する必要があります。

融資希望額を先に決めるのではなく、資金繰り表や設備の見積書などを使い、必要な金額を積み上げる考え方が基本です。

法人融資の審査では何を見られる?

金融機関ごとの具体的な審査基準は一般に公開されていません。

ただし、法人融資では「貸した資金を事業から返済できるか」が重要である点は共通しています。

決算内容と返済能力

既存法人では、決算書が重要な審査資料になります。

売上や利益だけでなく、借入金の残高、純資産、現預金、売掛金、役員貸付金など、貸借対照表も含めて確認されます。

単純に黒字なら借りられ、赤字なら借りられないわけではありません。

一時的な赤字なのか、慢性的に事業から資金が流出しているのかでも意味が異なるからです。

金融機関に対しては、数字の悪い部分を隠すのではなく、原因と改善策を説明できる状態にしておくことが重要です。審査で問題になりやすいポイントを整理したい場合は、融資が通らない主な理由と審査落ち後の改善方法も参考にしてください。

資金使途が明確か

「とりあえず1,000万円借りたい」よりも、

「受注増加に伴い仕入代金が先に発生するため、入金までの3か月分として600万円必要」

というように、必要額と資金使途を具体的に説明できるほうが合理的です。

設備資金であれば、購入予定の機械や車両などの見積書も重要になります。

返済計画に無理がないか

融資は返済することを前提とした資金調達です。

売上が計画どおり伸びなければ返済できないような計画よりも、一定程度売上が下振れしても返済を続けられる資金計画のほうが安全です。

融資審査対策だけではなく、経営そのものを守るためにも、売上・利益・資金残高を分けて考えましょう。

税金の納付状況

融資制度によっては納税証明書などの提出を求められることがあります。

税金の滞納がある場合、融資審査に影響する可能性があります。

すでに滞納がある場合は、何も説明せずに申請するのではなく、納付状況や今後の納付計画を整理したうえで金融機関や税理士へ相談することが大切です。

法人と代表者のお金が分離されているか

法人の資金と代表者個人の資金が明確に分けられていることも重要です。

特に代表者への多額の貸付金や仮払金が長期間残っている場合には、「会社から経営者個人へ資金が流出している」と見られる可能性があります。

2024年から始まった「事業者選択型経営者保証非提供制度」でも、代表者への貸付金等がないことなどが経営者保証を外すための要件のひとつとされています。

つまり、融資を受ける直前だけではなく、普段から法人と個人の資金をきちんと分けて管理しておくことが重要です。

「審査が甘い」「通りやすい」法人融資はある?

「法人融資 審査 甘い」「法人融資 通りやすい銀行」と検索する方も多いですが、特定の金融機関について一律に「審査が甘い」と判断することはできません。

法人によって財務状況や業歴、資金使途が違うため、同じ金融機関でも結果は異なります。

また、審査基準が異なることと「審査が甘い」ことも同じではありません。

たとえば創業直後で決算実績がない法人なら、決算実績を重視する一般的な銀行融資より、創業者を対象とする日本政策金融公庫の制度のほうが会社の状況に合っている場合があります。

逆に、何期も黒字決算を続け、取引実績も十分にある企業であれば、取引銀行のプロパー融資を検討できる可能性があります。

大切なのは「審査が甘いところを探すこと」ではなく、自社が審査対象として想定されている融資制度を選ぶことです。

赤字決算でも法人融資は受けられる?

赤字決算だからという理由だけで、すべての法人融資が受けられなくなるわけではありません。

金融機関は、赤字になった原因や今後の改善可能性も含めて判断します。

たとえば一時的な大型投資による赤字と、毎期本業から赤字が発生している状態では意味が異なります。

赤字の場合には、赤字の原因を数字で説明するとともに、現在の受注状況、コスト削減、価格改定、新規契約など、改善につながる具体的な材料を整理しましょう。

決算書だけを提出して審査結果を待つのではなく、「なぜ赤字になり、どのように改善するのか」を説明できる資料を用意することが大切です。

法人融資に必要な書類

必要書類は金融機関や融資制度によって異なります。

日本政策金融公庫が法人からインターネットで事業資金の申込みを受ける際には、法人について最近2期分の確定申告書・決算書、必要に応じて最近の試算表などを求めています。

設備資金なら見積書、初めて公庫を利用する場合には創業計画書または企業概要書、法人の履歴事項全部証明書なども必要になります。

銀行融資でも考え方は近く、決算実績がある法人なら、決算書だけでなく直近の試算表や資金繰り資料まで準備しておくと、現在の会社の状態を説明しやすくなります。

特に決算から数か月たっている場合、前年の決算書だけでは現在の業績が分からないため、最新の試算表は重要です。

法人融資を受ける一般的な流れ

必要な資金と時期を整理する

最初に「いくら必要なのか」「いつ必要なのか」「何に使うのか」を整理します。

ここが曖昧なまま融資先を探すと、必要以上の借入れや、資金が必要な時期に融資が間に合わない原因になります。

融資先を選ぶ

創業期なら日本政策金融公庫や制度融資、既存法人なら取引銀行や信用金庫、信用保証協会付き融資など、自社に合う候補を検討します。

資金調達までの期間が短い場合は、オンライン融資やビジネスローンも比較対象になります。

必要書類を準備する

決算書、試算表、資金繰り表、事業計画書、見積書などを準備します。

数字同士に矛盾がないかも確認しましょう。

特に事業計画書の売上予測と資金繰り表が一致していないなど、資料間で数字が食い違う状態は避けたいところです。具体的な作成方法は、融資の事業計画書の書き方と審査のポイントで詳しく解説しています。

申込み・面談・審査

金融機関へ申し込み、必要に応じて面談や追加資料の提出を行います。

面談では、事業内容だけでなく、「なぜ今この資金が必要なのか」「どのように返済するのか」を説明できるようにしておきましょう。

融資条件を確認して契約する

審査が承認されても、すぐに契約するのではなく、金利、融資金額、返済期間、据置期間、担保、保証、保証料、手数料などを確認します。

複数の選択肢がある場合は、毎月の返済額と総返済額の両方を比較することが重要です。

法人融資は代表者の連帯保証なしでも受けられる?

現在は「法人融資なら代表者の個人保証が必ず必要」というわけではありません。

全国銀行協会などが定める「経営者保証に関するガイドライン」では、法人と経営者個人の資産が明確に分離されていること、財務基盤が強化されていること、経営の透明性を確保していることなどを踏まえ、経営者保証に依存しない融資を促しています。

また、信用保証協会付き融資についても「事業者選択型経営者保証非提供制度」があります。

一定要件を満たす法人は、保証料率を0.25%または0.45%上乗せすることで、経営者保証を提供しないことを選択できます。

さらに2027年3月31日までの時限措置として、上乗せ保証料の一部を国が補助する制度も実施されています。2026年4月1日から2027年3月31日の申込分では0.05%相当が補助されます。

そのため、代表者保証を外したい場合は「無理だろう」と決めつけず、金融機関に対象となる制度がないか確認しましょう。

法人設立1年目でも融資は受けられる?

設立1年目でも融資を受けることは可能です。

特に日本政策金融公庫では、新たに事業を始める人や税務申告を2期終えていない創業期の事業者を対象とした融資制度が用意されています。

設立直後の場合、決算書がないため、代表者の事業経験、自己資金、創業計画、売上の根拠、必要資金などが重要になります。

「決算がないから融資を申し込めない」のではなく、決算の代わりに何を使って事業の実現性と返済可能性を説明するかがポイントです。

法人成りした直後でも融資は受けられる?

個人事業から法人へ法人成りした場合も、融資を受けられる可能性があります。

この場合は、法人としての決算実績だけではなく、個人事業時代の売上や申告実績、同じ事業を継続していることなどを説明できる資料が重要です。

実際、PayPay銀行の法人向けビジネスローンでは、同じ事業を個人事業主として営んだ後に法人化した場合、個人事業主としての業歴を通算できるとしています。

ただし、法人成り前の借入れが自動的に法人へ引き継がれるわけではありません。

既存の借入れがある場合は、金融機関との契約内容を確認したうえで個別に相談しましょう。

決算書不要で法人融資を受けられる?

一部のオンライン融資では、従来型の決算書提出を必要としないサービスがあります。

前述したドコモSMTBネット銀行の「事業性融資dayta」は、法人口座の入出金データなどをもとに借入条件を算出し、決算書などの資料提出を不要としています。

ただし、「決算書不要=審査なし」ではありません。

取引データなど別の情報を使って審査しています。

決算内容に問題があるから決算書不要の商品を探すというより、データ連携型融資という別の審査方式があると理解したほうが適切です。

法人が即日融資を受けることはできる?

一部のオンライン融資やビジネスローンでは、条件を満たせば当日中の融資に対応するサービスがあります。

ただし、すべての申込者が即日で借りられるわけではありません。

法人の業歴、口座利用実績、申込時間、必要書類、審査状況などによって融資までの期間は変わります。

また、「今日中に資金が必要」という状況になると、金利や契約条件を十分に比較しないまま借入れを決めてしまいやすくなります。

可能であれば、実際に資金が不足する直前ではなく、資金繰り表から数か月先の不足を予測して早めに金融機関へ相談することが重要です。

ノンバンクから法人融資を受けるときの注意点

ノンバンクのビジネスローンは、銀行融資を補完する資金調達方法として利用されています。

一方で、資金調達を急ぐ経営者を狙った無登録業者には注意が必要です。

貸金業を営む事業者は原則として登録が必要であり、金融庁では登録貸金業者を確認できる検索サービスを公開しています。検索に出ない場合は無登録業者である可能性もあるため、確認が必要です。

特に「審査なし」「誰でも必ず融資」「ブラックでも100%借りられる」といった極端な広告だけを信用して申し込むのは避けましょう。

金融庁も無登録で貸金業を営む事業者について注意喚起を行っています。

法人融資の借り換えはできる?

既存の法人融資を別の融資へ借り換えることも可能です。

金利の引下げだけでなく、複数の借入れをまとめたり、返済期間を延ばして毎月の返済額を調整したりする目的で行われることもあります。

ただし、毎月の返済額が下がったとしても、返済期間が長くなれば総支払利息が増える可能性があります。

借り換えでは「金利が低くなったか」だけを見るのではなく、借り換えに伴う手数料や保証料、総返済額、完済時期まで確認しましょう。

資金繰りがすでに厳しくなっている場合には、新たな借入れだけで解決しようとせず、既存金融機関への条件変更相談や経営改善計画の作成を含めて検討する必要があります。

法人融資を受けたときの税務・会計処理

融資によって法人の銀行口座へお金が入金されても、その借入元本は売上ではありません。

会計上は「借入金」という負債として処理します。

そのため、たとえば銀行から1,000万円を借りたからといって、その1,000万円に対して法人税がかかるわけではありません。

反対に、借入金の元本を返済したときも、原則として経費にはなりません。負債である借入金が減少する処理だからです。

一方、借入れに伴って支払う利息は通常、支払利息として費用処理します。ただし、前払利息や国外関連者との取引などでは税務上の個別ルールが関係することがあるため注意が必要です。国税庁も借入金の前払利息について、損金算入時期に関する取扱いを示しています。

消費税については、貸付金の利子と信用保証料はいずれも非課税取引です。

融資を受けた年度は、「入金額=売上」「返済額=経費」と誤解しないようにしましょう。

融資を受けやすい会社にするには決算前から準備する

法人融資の対策は、融資を申し込む直前に始めるものではありません。

特に銀行融資では、すでに確定した決算書を後から簡単に変えることはできません。

利益を過度に圧縮する節税を毎年続けた結果、利益や純資産が少なくなり、融資審査では返済能力を説明しにくくなることもあります。

もちろん、融資のために必要以上の税金を払えばよいわけでもありません。

重要なのは、税金だけを見るのではなく、利益、手元資金、借入金、純資産、今後必要になる設備投資まで含めて決算を考えることです。

また、法人と代表者個人の資金を明確に分け、役員貸付金や仮払金を安易に増やさないことも、金融機関から見た財務の透明性につながります。

融資を予定している法人ほど、決算が終わってから相談するのではなく、決算前から税理士と資金調達計画を共有しておくことが重要です。

法人融資に関するよくある質問

法人融資は銀行と日本政策金融公庫のどちらがいいですか?

会社の状況によって異なります。

創業直後や小規模事業者であれば、日本政策金融公庫が有力な選択肢になります。一方、すでに取引銀行があり決算実績も十分にある法人なら、銀行の保証協会付き融資やプロパー融資を含めて比較するとよいでしょう。

どちらか一方だけに絞る必要はありません。

赤字だと銀行融資は絶対に通りませんか?

赤字という理由だけで必ず融資を断られるわけではありません。

赤字になった原因、現在の業績、資金繰り、今後の改善可能性なども含めて判断されます。

一時的な赤字の場合は、その原因と改善状況を説明できる資料を用意しましょう。

代表者の個人信用情報は法人融資に関係しますか?

融資商品や保証の有無によって扱いは異なります。

特に代表者が連帯保証人になる融資などでは、代表者個人に関する情報が審査に影響することがあります。

一方、経営者保証を不要とする融資制度も増えているため、「代表者個人に借入れがあるから法人融資は絶対に無理」と一律に判断することはできません。

法人融資に保証人は必要ですか?

必ず必要なわけではありません。

日本政策金融公庫の創業期向け融資では原則無担保・無保証人の取扱いがあり、信用保証協会付き融資でも一定の条件を満たせば経営者保証を付けない制度があります。

金融機関へ相談するときは、保証人なしで利用できる選択肢がないか確認しましょう。

追加融資はいつ申し込むのがいいですか?

資金が完全になくなる直前より、資金繰りに余裕がある段階で相談するほうが望ましいと考えられます。

追加融資では、既存融資の返済状況だけでなく、「前回借りた資金を何に使い、その後業績がどう変わったか」も説明できるようにしましょう。

法人融資では事業計画書を必ず作る必要がありますか?

すべての法人融資で事業計画書が必須とは限りません。

ただし、創業直後、新規事業、大型設備投資、業績改善中など、過去の決算書だけでは将来の返済能力を説明しにくい場合には非常に重要な資料になります。

日本政策金融公庫でも創業者向けに創業計画書の書式を公開しています。

法人融資は「どこなら借りやすいか」より自社に合う方法を選ぶ

法人融資では、日本政策金融公庫、信用保証協会付き融資、銀行のプロパー融資、自治体の制度融資、ビジネスローン・オンライン融資など、主な借入先・融資方式を比較することが大切です。さらに、担保を設定するかどうかは、これらとは別の観点として検討します。

重要なのは、単純に「審査が甘い銀行」や「最も多く借りられる金融機関」を探すことではありません。

会社の業歴、決算内容、資金使途、必要金額、返済能力、資金が必要になる時期によって、適した融資は異なります。

創業直後なら創業者向け制度、一定の実績があれば保証協会付き融資やプロパー融資、急ぎの短期資金ならオンライン融資というように、自社の状況から候補を絞ることが大切です。

そして、融資を受けやすい会社にするためには、申し込み直前のテクニックよりも、普段から正確な会計処理を行い、月次で業績と資金繰りを把握し、法人と代表者個人のお金を明確に分けておくことが重要です。

融資の予定がある場合には、資金が不足してから動くのではなく、必要資金と返済計画を早めに整理し、金融機関や日本政策金融公庫、税理士などへ相談しましょう。

参考資料・出典

この記事を書いた人

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税理士・公認会計士 武者 聡

横浜で10年以上にわたり、数多くの創業・経営支援に携わる。「税理士は一番身近な経営相談相手」という信念のもと、事務代行以上に「経営アドバイス」と「決断の後押し」を最重視。自身も一経営者としての視点を持ち、資金調達から事業拡大までを実践的にサポートします。経営の迷いを払拭し、ベストな選択へと導くパートナーとして、横浜・新横浜のビジネスを支え続けます。