融資の保証料の勘定科目は?仕訳・前払費用・消費税の扱いを解説

融資の保証料の勘定科目は?仕訳・前払費用・消費税の扱いを解説

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銀行などから事業資金の融資を受けたとき、信用保証協会の保証を利用すると「信用保証料」が発生することがあります。融資実行時にまとまった金額が差し引かれることもあるため、「全額を支払手数料にしてよいのか」「前払費用にするのか」「消費税はどう処理するのか」と迷いやすい費用です。

信用保証料の会計処理で大切なのは、勘定科目の名称だけで判断しないことです。保証期間、決算日までに経過した期間、返戻条件などを確認し、当期の費用と将来の期間に対応する部分を分けて考える必要があります。

この記事では、融資の保証料に使われる主な勘定科目から、融資額から保証料が差し引かれた場合の仕訳、繰上返済で保証料が戻った場合、消費税の扱いまで順番に解説します。

※契約内容や会計方針によって処理が異なる場合があるため、実際の仕訳では保証決定通知書や返済予定表なども確認してください。

融資の保証料はどの勘定科目で処理する?

融資に伴う信用保証料には、すべてのケースで必ず同じ勘定科目を使うわけではありません。

実務では、当期の費用となる部分を「支払保証料」や「支払手数料」などで処理し、将来の保証期間に対応する部分を「前払費用」や「長期前払費用」として資産計上する方法があります。

状況主に検討する勘定科目考え方
当期の保証期間に対応する部分支払保証料・支払手数料など当期の費用として処理
翌期に対応する部分前払費用まだ受けていない保証サービスに対応する部分
さらに長期間に対応する部分長期前払費用長期にわたる未経過部分を管理
繰上返済などで保証料が返戻された場合前払費用等の減額など帳簿残高と実際の返戻額を照合して処理

「支払手数料にするか、支払保証料にするか」という科目名だけでなく、保証期間に対応して適切に費用化されているかを確認することが重要です。

支払保証料・支払手数料・前払費用・長期前払費用の違い

「支払保証料」は、信用保証料であることを帳簿上わかりやすく管理したい場合に使いやすい勘定科目です。「支払手数料」の中で管理している会社もあります。

一方、保証期間が決算日をまたぐ場合、支払った金額のすべてが当期に対応する費用とは限りません。

国税庁は、一定の契約に基づいて継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち、事業年度終了時点でまだ提供を受けていない役務に対応する部分を前払費用とし、原則として資産計上したうえで、役務の提供を受けた時点で損金に算入する考え方を示しています。

そのため、複数年にわたる信用保証については、支払日に全額を費用にするのではなく、保証期間との対応関係を確認する必要があります。

貸借対照表上の管理では、比較的近い時期に費用化する部分を「前払費用」、さらに先の期間に対応する部分を「長期前払費用」として区分する方法があります。

ただし、会社が使用している勘定科目体系によって表示方法は異なります。科目名そのものより、費用と期間の対応関係が正しく処理されていることを優先してください。

最初に確認するのは保証期間・決算日・返戻条件

信用保証料の仕訳を決めるときは、最初から勘定科目を選ぶのではなく、まず保証関係の書類を確認します。

特に重要なのが、保証開始日と終了日、保証料総額、決算日までの経過期間、繰上返済した場合の返戻条件です。

たとえば、5年間の保証に対する保証料を融資実行時に一括で支払った場合、保証開始直後に5年分すべての保証サービスを受け終わっているわけではありません。そのため、当期分と未経過分を分けて考える必要があります。

国税庁には、支払日から1年以内に提供を受ける役務に係る前払費用について、一定の条件を満たし、継続して支払時に損金算入している場合に認められる「短期前払費用」の取扱いもあります。

ただし、保証期間が1年以内だから無条件で全額を経費にできるという意味ではありません。 契約内容や継続適用などの要件を確認して判断します。

融資の信用保証料とは

信用保証料とは、信用保証協会の保証を利用するために中小企業などが負担する費用です。

横浜市信用保証協会では、信用保証料を信用保証協会を利用するための対価としています。また、支払われた保証料は、信用保険料や代位弁済に伴う損失の補てん、制度運営に必要な経費などに充てられています。

銀行から事業資金を借りる際、中小企業単独では金融機関が融資判断をしにくい場合があります。信用保証制度では、信用保証協会が中小企業者の債務を保証することで、金融機関からの資金調達を支援します。

したがって、信用保証料は借入金そのものではなく、信用保証を利用するために発生する費用です。

信用保証協会付き融資、日本政策金融公庫、民間金融機関の融資など、資金調達方法ごとの違いを整理したい場合は、以下の記事も参考にしてください。

保証料と利息・銀行手数料は別の費用

融資実行時には、信用保証料以外にも複数の費用が発生することがあります。

たとえば、借入金に対する利息、金融機関の事務手数料、振込に伴う手数料などです。

これらは融資に関連して同じタイミングで発生するため、一括して「銀行に支払った費用」と考えてしまいがちですが、性質や消費税区分が同じとは限りません。

特に経理処理では、信用保証料と金融機関の事務手数料などを明細上で分けて確認することが重要です。

通帳の入金額だけで判断せず、融資契約書、信用保証決定のお知らせ、保証料に関する通知、金融機関の計算書などを照合しましょう。

信用保証料の金額は融資額だけでは決まらない

信用保証料は、単純に「融資額の○%」だけで決まるわけではありません。

横浜市信用保証協会では、貸付金額、信用保証料率、保証期間、返済方法に応じた分割係数などを使って保証料が計算されます。保証制度や事業者の状況によって適用される保証料率も異なります。

そのため、経理担当者が独自に保証料を再計算して帳簿額を決めるのではなく、信用保証協会や金融機関から交付された書類に記載された保証料を基礎に処理するのが基本です。

融資を受けたときの保証料の仕訳例

ここからは、信用保証料の仕訳を具体例で確認します。

実際の処理は保証条件や会社の会計方針によって異なるため、以下は仕組みを理解するために単純化した例です。

保証料が融資額から差し引かれて入金された場合

5,000,000円の融資を受け、信用保証料120,000円が融資実行時に差し引かれ、普通預金へ4,880,000円が入金されたケースを考えます。

保証期間が複数年にわたり、120,000円を将来の保証期間に対応する資産として処理すると仮定すると、仕訳例は次のようになります。

借方金額貸方金額
普通預金4,880,000円長期借入金5,000,000円
長期前払費用120,000円

ここで注意したいのは、実際に普通預金へ入った4,880,000円を借入金額としないことです。

借入債務そのものは5,000,000円であり、そこから保証料120,000円が差し引かれた結果、4,880,000円が入金されています。

したがって、借入金5,000,000円と保証料120,000円を分けて記録します。

決算をまたぐ保証料の処理

先ほどの保証料120,000円について、理解を簡単にするため、保証期間を60か月、保証料を各月へ均等に配分する例を考えます。

120,000円÷60か月=1か月あたり2,000円です。

仮に当期中に12か月分の保証期間が経過したとすると、当期費用は24,000円になります。

借方金額貸方金額
支払保証料24,000円長期前払費用24,000円

この場合、決算後に残る未経過分は96,000円です。

ただし、これは仕組みを説明するために保証料を単純に均等配分した例です。実際の返戻計算や保証条件が単純な月割りとは一致しない場合もあるため、保証協会の書類や会社の会計処理方針を確認してください。

また、貸借対照表上、翌事業年度中に費用化する部分を「前払費用」、それより先に対応する部分を「長期前払費用」として分けて管理する場合もあります。

重要なのは、最初から「120,000円を支払手数料として全額計上すれば終わり」と考えず、保証期間に対応する未経過部分が残っていないか確認することです。

返戻の有無で保証料の処理はどう変わる?

信用保証料は、借入金を予定より早く完済した場合などに、一部が返戻されることがあります。

横浜市信用保証協会でも、保証付融資を最終履行期限より前に完済した場合には、一定の条件に基づいて受領済み信用保証料の一部を返戻するとしています。

そのため、信用保証料を処理するときは、支払時だけでなく、繰上返済や借換えをしたときにも帳簿残高を確認する必要があります。

繰上返済で保証料が戻ってきた場合

たとえば、繰上返済時点で帳簿に残っている前払費用・長期前払費用が80,000円あり、実際に信用保証協会から72,000円が返戻されたとします。

単純化すると、次のような考え方になります。

借方金額貸方金額
普通預金72,000円長期前払費用80,000円
支払保証料等8,000円

帳簿に残っていた80,000円のうち72,000円が現金として戻り、返戻されなかった8,000円を費用として処理する例です。

実際には、これまでの費用化方法や返戻額の計算、帳簿上使用している勘定科目によって処理が変わるため、返戻通知に記載された金額と前払費用等の残高を必ず突き合わせます。

借換えの場合には、旧融資の返戻保証料と新しい融資の信用保証料が差し引かれることもあります。横浜市信用保証協会でも一定条件を満たす場合の差引計算を案内しているため、銀行口座への実際の入出金だけを見て仕訳しないよう注意が必要です。

返戻されない保証料は全額経費にできるとは限らない

保証料に返戻条件がない場合、「戻ってこないのだから支払日に全額を経費にすればよい」と考えたくなります。

しかし、返戻の有無だけで会計・税務処理が決まるわけではありません。

保証料の支出による効果がどの期間に及ぶのか、どのような契約に基づく費用なのかなどを確認して判断する必要があります。

特に複数年にわたる保証についてまとまった金額を一括で支払っている場合は、保証契約書や信用保証に関する通知を確認せず、一律に全額費用処理しない方が安全です。

信用保証料に消費税はかかる?

信用保証料は、消費税の非課税取引です。

国税庁は、預貯金や貸付金の利子などとともに「信用保証料」を主な非課税取引として明示しています。

したがって、信用保証協会へ支払う信用保証料について、通常の課税仕入れと同じように消費税を計上する処理は行いません。

たとえば信用保証料120,000円であれば、「本体109,091円+消費税10,909円」のように分解するものではありません。

ただし、融資を受ける際には信用保証料以外の手数料が同時に発生することがあります。

金融機関への事務手数料など、信用保証料とは別の費用が請求されている場合は、その費用まで信用保証料と同じ非課税区分にまとめないよう注意してください。

請求書や融資実行時の明細で、それぞれ何に対する支払いなのかを確認して処理することが大切です。

保証料の仕訳で間違えないための確認手順

信用保証料を処理するときは、次の順番で確認すると判断しやすくなります。

  1. 信用保証関係の書類を確認する
    信用保証決定のお知らせ、保証料に関する通知、融資契約書、返済予定表などを確認します。
  2. 保証料の総額と実際の融資額を分ける
    融資額から保証料が差し引かれていても、借入金そのものを手取額で記帳しないようにします。
  3. 保証期間を確認する
    保証開始日と終了日を確認し、決算日までの経過期間と未経過期間を分けます。
  4. 返戻条件を確認する
    繰上返済時に保証料が返る契約か、返戻額がどのように計算されるかを確認します。
  5. 費用部分と資産部分を分ける
    当期に対応する部分を支払保証料などで費用化し、将来期間に対応する部分は前払費用・長期前払費用などで管理します。
  6. 消費税区分を確認する
    信用保証料は非課税ですが、同時に支払った銀行手数料などは別取引として確認します。

特に、借換えによって旧融資の保証料返戻と新しい保証料が同時に発生している場合や、複数の融資をまとめて処理している場合は、通帳だけでは内容を判断できないことがあります。

また、過年度から前払費用や長期前払費用の残高が引き継がれているものの、何の保証料かわからなくなっている場合も注意が必要です。

処理を確認する場合は、信用保証決定のお知らせ、融資契約書、返済予定表、保証料の支払・返戻通知、融資実行日の通帳明細などを揃えると、内容を整理しやすくなります。

融資の保証料に関するよくある質問

融資の保証料はすべて支払手数料で処理してもよいですか?

必ずしも全額を支払時の費用にできるとは限りません。保証期間が決算をまたぐ場合は、未経過期間に対応する部分について前払費用などの資産計上を検討します。科目名より、どの期間の費用なのかを確認することが重要です。

保証料が融資額から差し引かれた場合、借入金はいくらで計上しますか?

借入金は保証料控除前の融資額で計上します。たとえば500万円の融資から12万円の保証料が差し引かれ、488万円が入金された場合でも、借入金は500万円です。12万円の保証料を別途処理します。

信用保証料には消費税がかかりますか?

信用保証料は消費税の非課税取引です。消費税を含む金額として分解しません。ただし、同じ融資時に発生した金融機関の事務手数料などは別の費用なので、明細を分けて税区分を確認してください。

繰上返済で保証料が返ってきた場合はどうしますか?

まず、前払費用や長期前払費用として残っている保証料の帳簿残高を確認します。そのうえで実際の返戻額と照合し、資産残高を取り崩します。帳簿残高と返戻額に差があれば、その差額についても適切な費用・収益処理を検討します。

日本政策金融公庫の融資でも同じ保証料がかかりますか?

この記事で説明している信用保証料は、主に信用保証協会による保証を利用する融資を前提としています。日本政策金融公庫の融資は制度や保証条件が異なるため、「融資なら必ず信用保証料が発生する」と考えないようにしてください。

日本政策金融公庫の融資制度や審査、申込みの流れを確認したい場合は、以下の記事で詳しく解説しています。

「支払保証料」と「支払手数料」はどちらを使えばよいですか?

会社の勘定科目体系によって異なります。信用保証料を独立して管理したい場合は「支払保証料」、各種手数料とまとめて管理している場合は「支払手数料」を使う方法があります。大切なのは、一貫した処理を行い、未経過期間の保証料まで当期費用にしていないか確認することです。

まとめ

融資に伴う信用保証料は、単純に「保証料だから支払手数料」と判断するのではなく、保証期間と返戻条件を確認して処理することが重要です。

当期に対応する部分は支払保証料や支払手数料などで費用処理し、将来の保証期間に対応する部分がある場合は、前払費用や長期前払費用として管理する方法があります。

また、融資額から保証料が差し引かれて入金された場合でも、借入金は控除前の融資総額で計上します。

繰上返済や借換えをしたときは、保証料が返戻されることがあるため、前払費用等の残高と返戻通知を照合することも欠かせません。

消費税については、信用保証料は非課税取引です。一方で、同時に支払う金融機関の手数料などは別の取引になるため、明細を分けて確認します。

仕訳を始める前に、まず信用保証決定のお知らせ、保証料の通知、融資契約書、返済予定表を確認し、「保証料はいくらか」だけではなく「どの期間の保証に対する費用なのか」を整理することが、正しい経理処理への近道です。

参考資料・出典

この記事を書いた人

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税理士・公認会計士 武者 聡

横浜で10年以上にわたり、数多くの創業・経営支援に携わる。「税理士は一番身近な経営相談相手」という信念のもと、事務代行以上に「経営アドバイス」と「決断の後押し」を最重視。自身も一経営者としての視点を持ち、資金調達から事業拡大までを実践的にサポートします。経営の迷いを払拭し、ベストな選択へと導くパートナーとして、横浜・新横浜のビジネスを支え続けます。