後期高齢者医療の保険料に金融所得が反映される?特定口座の利益が対象となる仕組み
75歳以上の方が原則加入する後期高齢者医療制度で、株式の配当や売却益などの金融所得を、保険料や医療機関の窓口負担割合に反映する仕組みが導入される予定です。2026年5月に成立した改正法を受けて、厚生労働省は2029年8月から段階的に反映する日程案を示しています。資産運用をしている方にとっては、今後の負担に関わる重要な変更です。
ただし、これは今後の施行に向けた制度であり、詳細は今後の政省令などで具体化される可能性があります。最新の情報は、必ず公的な発表資料でご確認ください。
申告していない利益も判定の対象に
現在の仕組みでは、源泉徴収ありの特定口座で得た株式の売却益や配当は、確定申告をしなければ、原則として後期高齢者医療保険料には反映されません。一方で、同じ利益であっても確定申告をすれば反映されるため、申告の有無によって保険料の負担が変わるという状況になっています。
新しい制度では、証券会社などが提出する「特定口座年間取引報告書」などのデータを活用して所得を把握し、申告の有無にかかわらず保険料の計算に含める方向です。そのため、年金収入が同じでも、金融所得が多い方は保険料が上がったり、窓口負担が1割から2割などに変わったりする可能性があります。
データが反映されるまでの流れ
制度の仕組みは、大きく3つの段階に分けて考えると理解しやすくなります。
まず、金融機関が配当の支払いなどに関する法定調書を、2029年1月以降にオンラインで提出することが義務づけられます。次に、金融機関のデータと、市町村が把握している課税所得の情報が、都道府県の広域連合が管理するデータベースに集約されます。そして2029年8月以降、集約されたデータをもとに、後期高齢者の窓口負担割合や保険料へ反映される予定です。
NISAや預貯金は対象外
保険料の計算の対象となるのは、課税対象となる上場株式などの配当や譲渡益です。NISA口座で得た非課税の利益や、預貯金の利息、株式や預金の保有残高そのものは含まれません。
また、今回の改正では、2028年分の金融所得の一部が2029年8月から反映され、2030年8月からは全面的に反映される予定とされています。なお、現段階で変更の対象となるのは後期高齢者医療制度で、国民健康保険や介護保険への拡大は今後の検討課題とされています。
まとめ
医療保険の負担を考える際には、年金収入だけでなく、資産運用から生じる金融所得にも目を向ける必要が出てきています。特に75歳以上の方や、これから後期高齢者医療制度へ移る方は、制度の開始時期と、ご自身が利用している口座の種類を確認しておくと安心です。
制度の影響は、個々の収入や保有資産によって大きく異なります。ご自身の場合にどうなるかが気になる方は、お気軽に当事務所へご相談ください。
※本記事は2026年時点で公表されている制度の方向性に基づいています。施行日や反映時期などは、今後変更される可能性があるため、厚生労働省など公式の発表資料をご確認ください。