補助金・助成金の勘定科目と仕訳で税理士が見る3つの判断基準

補助金・助成金の勘定科目と仕訳を誤ると、収入計上漏れ、決算期のズレ、消費税区分の誤入力、固定資産の取得価額ミスにつながります。特に、入金日だけで処理してしまうと、税務申告や決算書の数字に影響するケースがあります。

多くの事業者が同じ壁にぶつかります。補助金は「もらったお金」ではありますが、会計上は売上とは別の処理が必要です。さらに、助成金、支援金、協力金、給付金など似た言葉が多く、初めて処理する方が迷うのは自然です。

この記事では、補助金・助成金の勘定科目、基本の仕訳例、交付決定日と入金日の違い、消費税、所得税・法人税、圧縮記帳、返還時の処理まで整理します。読了後には、自分で処理できる範囲と税理士へ相談すべき範囲を判断しやすくなります。

筆者は、会社設立・個人事業主支援・補助金受給後の会計処理を10年以上支援してきた税務実務者です。年間50件以上の創業・税務相談で確認している実務上のつまずきも踏まえ、初学者にもわかる形で解説します。

本記事は2026年時点の公開情報をもとに作成しています。補助金・助成金の税務処理は、制度内容や事業との関連性、固定資産の取得有無により判断が変わります。個別の処理は、税理士または所轄税務署へご確認ください。

補助金・助成金の勘定科目は原則「雑収入」

補助金・助成金の勘定科目は、原則として「雑収入」で処理します。

事業に関連して受け取る補助金や助成金は、本業の商品販売やサービス提供の対価ではありません。そのため、通常の売上高ではなく、営業外の収入や雑収入として処理するのが基本です。

まず押さえるべき結論は、補助金・助成金は「売上」ではなく「雑収入」で処理するケースが多いという点です。

ただし、会計ソフトや会社の勘定科目体系によっては、「補助金収入」「助成金収入」「受取助成金」などの科目を使う場合があります。いずれも、実態としては本業の売上と分けて管理することが目的です。

補助金・助成金・支援金・協力金の違い

補助金・助成金・支援金・協力金は、制度の目的や支給元に違いがあります。

補助金は、国や自治体が政策目的に沿った事業を支援するために交付する資金です。採択審査があり、対象経費の一部が後から支給される形式が多く見られます。

助成金は、一定の要件を満たした事業者に支給される資金です。雇用関係の助成金では、厚生労働省関係の制度がよく使われます。

支援金や協力金は、災害、感染症、物価高騰、自治体施策などに応じて支給されることがあります。名称は違っても、事業に関連して受け取る場合は、会計上は雑収入として整理することが多いです。

基本の勘定科目は雑収入

補助金・助成金の基本科目は雑収入です。

たとえば、普通預金に100万円の補助金が入金された場合、基本形は次のようになります。

借方金額貸方金額
普通預金1,000,000円雑収入1,000,000円

この処理により、事業の収入として帳簿に反映されます。売上高とは分けて表示されるため、本業の売上規模や粗利率の分析をゆがめにくくなります。

未収入金・事業主借・補助金収入を使うケース

未収入金は、補助金の支給が確定しているものの、まだ入金されていないときに使います。

たとえば、決算日前に交付額確定通知を受け、入金が翌期になる場合は、当期に未収入金を計上する処理を検討します。

個人事業主で補助金が事業用口座ではなく個人口座に入った場合は、事業主借を使って整理することがあります。

ケース主に使う勘定科目
入金済み雑収入
支給確定済みで未入金未収入金
個人口座に入金事業主借
管理上分けたい補助金収入、助成金収入

会計ソフトで「補助金収入」や「助成金収入」を作る場合でも、税務上は収入として扱う点は変わりません。

法人と個人事業主で勘定科目の考え方は変わるか

法人と個人事業主で、基本的な考え方は大きく変わりません。

法人では、雑収入や営業外収益として処理することが一般的です。個人事業主では、事業に関連する補助金であれば、事業所得の収入として雑収入に計上するのが基本です。

ただし、個人に対する生活支援的な給付金や、事業と関係しない支援金は、所得区分が変わる場合があります。国税庁は、所得税では所得を性質に応じて10種類に区分すると示しています。

事業用の補助金なのか、個人に対する支援金なのかで処理が変わるため、名称だけで判断しないことが必要です。

仕訳のタイミングは交付決定日と入金日で分ける

補助金・助成金の仕訳は、交付決定日、交付額確定日、入金日のどこで収益計上すべきかを確認して処理します。

実務では、入金された日に雑収入を計上するケースが多くあります。ただし、決算をまたぐ場合や、交付額が確定している場合は、未収入金を使って当期の収入として処理すべきケースがあります。

決算をまたぐ場合は、入金日だけで判断せず、交付決定通知書や交付額確定通知書の日付を確認します。

交付決定時に未収入金を計上する仕訳

交付決定や交付額確定により、受け取る権利が明確になった場合は、未収入金を計上します。

たとえば、3月決算法人が3月25日に補助金100万円の交付額確定通知を受け、4月10日に入金された場合です。

3月25日の処理は次のとおりです。

借方金額貸方金額
未収入金1,000,000円雑収入1,000,000円

この仕訳により、当期の収入として補助金を反映します。

入金時に未収入金を消し込む仕訳

入金時には、すでに計上した未収入金を消し込みます。

4月10日に普通預金へ100万円が入金された場合です。

借方金額貸方金額
普通預金1,000,000円未収入金1,000,000円

この段階では、すでに前期に雑収入を計上しています。そのため、入金時にもう一度雑収入を計上してはいけません。

二重計上は、補助金処理でよくあるミスです。会計ソフトへ自動連携された入金データをそのまま雑収入で登録すると、すでに未収入金を立てている場合に収入が重複します。

入金日と決算期が同じ場合の考え方

入金日と決算期が同じ場合は、入金時に雑収入を計上する処理でも実務上問題になりにくいです。

たとえば、6月10日に交付額確定通知を受け、7月15日に入金され、決算日が12月31日の場合です。この場合、同じ事業年度内で完結するため、入金時に雑収入を計上しても、年間の所得金額に大きなズレは生じません。

ただし、月次試算表を正確に作成している法人では、交付額確定時に未収入金を計上したほうが管理しやすくなります。

決算をまたぐ場合に注意すべき収益計上

決算をまたぐ場合は、税務上の処理に影響しやすくなります。

たとえば、3月決算法人で3月に交付額が確定し、4月に入金された場合、入金が翌期だからといって翌期の収入にすると、当期の所得が過少になります。

私の実務経験でも、補助金処理で一番多い確認ポイントは「入金日」ではなく「いつ受給が確定したか」です。特に、補助事業完了後に実績報告を行い、交付額確定通知を受けるタイプの補助金では、書類の日付確認が欠かせません。

ケース別で見る補助金・助成金の仕訳例

補助金・助成金の仕訳は、入金済み、未入金、固定資産購入、個人口座入金など、状況ごとに分けて考えます。

同じ100万円の補助金でも、入金タイミングや使途によって仕訳が変わります。まずは、自分のケースがどれに当てはまるかを確認してください。

仕訳は「何のお金か」だけでなく、「いつ確定し、どこに入金され、何に使ったか」で決まります。

補助金が普通預金に入金された場合

普通預金に補助金が入金された場合は、雑収入で処理します。

借方金額貸方金額
普通預金1,000,000円雑収入1,000,000円

この仕訳は、最も基本的な処理です。

会計ソフトでは、入金明細の摘要に「〇〇補助金入金」「〇〇助成金入金」などと記載しておくと、後から確認しやすくなります。

支給決定通知を受けたが未入金の場合

支給決定通知や交付額確定通知を受けたものの、まだ入金されていない場合は、未収入金を使います。

借方金額貸方金額
未収入金1,000,000円雑収入1,000,000円

その後、入金されたときに次の仕訳を行います。

借方金額貸方金額
普通預金1,000,000円未収入金1,000,000円

未収入金を使う場合は、入金時に雑収入を再計上しないよう注意してください。

人件費・広告費・設備投資に充てた場合

補助金を人件費、広告費、設備投資に充てた場合でも、補助金収入と経費は原則として分けて処理します。

たとえば、広告費150万円を支払い、後日100万円の補助金を受け取った場合です。

広告費支払い時の仕訳です。

借方金額貸方金額
広告宣伝費1,000,000円普通預金1,000,000円

補助金入金時の仕訳です。

借方金額貸方金額
普通預金1,000,000円雑収入1,000,000円

広告費150万円から補助金100万円を差し引いて、広告費50万円だけを計上する処理は避けます。総額で処理しないと、実際の取引規模が帳簿に反映されません。

個人事業主の個人口座に入金された場合

個人事業主の個人口座に補助金が入金された場合は、事業主借を使って事業の帳簿に反映します。

たとえば、事業用ではない個人口座に100万円の補助金が入った場合です。

借方金額貸方金額
事業主借1,000,000円雑収入1,000,000円

この処理により、事業用口座に入っていないお金でも、事業所得の収入として帳簿に反映できます。

個人事業主は、事業用口座と生活用口座を分けるだけで経理ミスが大きく減ります。補助金の入金先も、可能であれば事業用口座に統一してください。

補助金・助成金にかかる税金と消費税の扱い

補助金・助成金は、所得税・法人税では原則として課税所得に影響しますが、消費税では原則として不課税として扱います。

ここで混同しやすいのが、「所得税・法人税の課税」と「消費税の課税」は別物だという点です。所得税や法人税では収入として扱う一方で、消費税では売上の対価ではないため課税対象外となるケースが多くあります。

補助金・助成金は、所得税・法人税では収入、消費税では原則として不課税と分けて理解します。

所得税・法人税では原則として課税対象になる

事業に関連して受け取る補助金・助成金は、所得税や法人税の計算上、原則として収入に含めます。

個人事業主であれば、事業所得の雑収入として処理することが多いです。法人であれば、雑収入または営業外収益として処理し、法人税の所得計算に反映します。

ただし、すべての給付金や支援金が同じ扱いになるわけではありません。法律で非課税と定められているものや、個人に対する生活支援的な給付金は、別の扱いになる場合があります。

国税庁は、所得税は原則として所得に課税する一方、法律で非課税所得が定められていると説明しています。

消費税は原則として不課税として扱う

国や地方公共団体から受ける補助金・助成金は、一般的に消費税の課税対象になりません。

国税庁は、寄附金、祝金、見舞金、国または地方公共団体からの補助金・助成金等について、一般的に対価を得て行う取引ではないため、課税の対象とならないものとして示しています。

消費税では、商品販売やサービス提供のように「対価を得て行う取引」が課税対象になります。補助金は、通常、資産の譲渡や役務提供の対価ではないため、不課税として扱います。

会計ソフトへ入力するときは、消費税区分を「対象外」「不課税」などに設定します。ソフトによって表示名が異なるため、課税売上10%として登録しないよう注意してください。

「非課税」と「不課税」の違い

補助金・助成金の消費税区分は、「非課税」ではなく「不課税」と考えるのが基本です。

非課税は、本来は消費税の課税対象になる取引のうち、政策的な理由などで課税しない取引です。土地の譲渡、住宅の貸付け、一定の医療などが代表例です。

不課税は、そもそも消費税の課税対象に入らない取引です。補助金や助成金は、一般的に対価性がないため不課税に該当します。

この違いは、課税売上割合の計算や会計ソフトの集計に影響します。消費税の申告をしている事業者は、特に注意してください。

経費と補助金を相殺して処理してはいけない理由

補助金と補助対象経費は、原則として相殺せずに総額で処理します。

たとえば、機械装置300万円を購入し、補助金200万円を受け取った場合、機械装置を100万円だけで計上する処理は適切ではありません。固定資産の取得価額や減価償却、圧縮記帳の判断に影響するからです。

実務上は、次のように整理します。

取引処理
対象経費を支払った経費または固定資産を総額で計上
補助金を受け取った雑収入または補助金収入で計上
固定資産取得に充てた圧縮記帳の適用可否を検討

相殺処理は見た目が簡単ですが、税務上の判断を誤る原因になります。

固定資産を購入した場合の圧縮記帳と仕訳

補助金で固定資産を購入した場合は、通常の雑収入処理に加えて、圧縮記帳の適用可否を検討します。

圧縮記帳は、補助金を受け取った年度に税負担が急増しないよう、一定の要件のもとで課税を繰り延べる制度です。税金が完全になくなる制度ではありません。

圧縮記帳は節税ではなく、課税のタイミングを後ろへずらす制度です。

圧縮記帳とは税金を免除する制度ではない

圧縮記帳は、補助金で取得した固定資産の取得価額を一定額圧縮し、その分を損金または必要経費に反映する処理です。

たとえば、500万円の機械を購入し、300万円の補助金を受け取った場合、要件を満たせば補助金相当額について圧縮記帳を検討します。

ただし、圧縮記帳をすると固定資産の帳簿価額が下がります。その結果、翌期以降の減価償却費も少なくなります。つまり、受給年度の税負担を抑える代わりに、将来の経費が減る仕組みです。

直接減額方式と積立金方式の違い

法人の圧縮記帳では、直接減額方式と積立金方式があります。

方式概要
直接減額方式固定資産の取得価額から圧縮額を直接差し引く
積立金方式圧縮積立金を計上し、会計上の表示を調整する

中小企業の実務では、直接減額方式が使われることがあります。ただし、会計方針や決算書表示、税務申告書の作成に関わるため、税理士と確認して決めるべき論点です。

国税庁の法人税関係の質疑応答でも、固定資産の取得または改良に充てる国または地方公共団体の補助金等が、法人税法第42条の圧縮記帳の適用対象になることが示されています。

個人事業主の国庫補助金等の総収入金額不算入

個人事業主の場合は、国庫補助金等の総収入金額不算入の特例が関係します。

国税庁は、この取扱いを受けた固定資産について、実際の取得金額や改良費から総収入金額に算入されなかった国庫補助金等の額を控除した残額を取得費とし、減価償却費もその取得費を基礎として計算すると説明しています。

また、この取扱いを受ける場合は、「国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書」を添付した確定申告書を提出する必要があります。

個人事業主が固定資産取得に補助金を使った場合は、通常の雑収入処理だけで終わらせないでください。

圧縮記帳を使うか判断するポイント

圧縮記帳を使うかどうかは、補助金の金額、固定資産の種類、取得時期、当期利益、翌期以降の減価償却への影響を見て判断します。

判断時に確認する項目は次のとおりです。

確認項目見るポイント
補助金の目的固定資産の取得または改良に充てるものか
返還条件返還不要が確定しているか
取得資産機械、車両、建物、ソフトウェアなど
取得時期補助金の交付年度と同じか
申告書類明細書や別表の添付が必要か

圧縮記帳は、要件確認と申告書類の作成が必要です。固定資産が絡む補助金は、自己判断で処理せず、税理士へ確認することをおすすめします。

返還・収益納付が発生した場合の仕訳

補助金・助成金を返還することになった場合は、返還理由と過去の処理を確認して仕訳します。

補助金は、受け取ったら終わりではありません。要件違反、実績報告の不備、対象経費の減額、収益納付などにより、返還が必要になることがあります。

返還時の仕訳は、最初に「過去にどう収益計上したか」を確認してから処理します。

補助金を返還する主なケース

補助金の返還が発生する主なケースは次のとおりです。

返還理由内容
要件違反交付要綱の条件を満たさなくなった
対象経費の減額実績報告後に対象外経費が判明した
目的外使用補助金を申請目的と違う用途に使った
財産処分補助対象資産を無断で売却・廃棄した
収益納付補助事業で一定の収益が発生した

返還条件は制度ごとに異なります。交付決定通知書、交付要綱、補助事業の手引きを必ず確認してください。

返還が決まったときの勘定科目

返還が決まった場合は、雑損失や過年度損益修正損などで処理することがあります。

当期に受け取った補助金を同じ期に返還する場合は、雑収入の取消処理に近い形で整理することもあります。一方、過年度に受け取った補助金を返還する場合は、過年度の処理との関係を確認する必要があります。

税務上の扱いは、返還理由や時期によって変わります。金額が大きい場合は、税理士に確認してください。

返還時の仕訳例

当期に受け取った補助金100万円を、同じ期に全額返還した場合の一例です。

受取時の仕訳です。

借方金額貸方金額
普通預金1,000,000円雑収入1,000,000円

返還時の仕訳です。

借方金額貸方金額
雑収入1,000,000円普通預金1,000,000円

すでに決算が終わった過年度分を返還する場合は、雑損失などで処理するケースもあります。

借方金額貸方金額
雑損失1,000,000円普通預金1,000,000円

どちらの処理が適切かは、返還確定日、返還理由、過年度決算への影響で判断します。

圧縮記帳後に返還が起きた場合の注意点

圧縮記帳後に補助金の返還が発生した場合は、特に注意が必要です。

圧縮記帳により固定資産の帳簿価額を調整しているため、返還によって資産の取得価額、減価償却、過去の税務処理に影響する可能性があります。

この場合は、通常の返還仕訳だけで処理を終えると誤るおそれがあります。圧縮記帳をしている補助金を返還する場合は、税理士または所轄税務署へ確認してください。

個人事業主・法人で変わる実務上の注意点

補助金・助成金の基本処理は共通しますが、個人事業主と法人では注意点が異なります。

個人事業主は、事業用口座と個人口座の混在、青色申告決算書への反映、事業所得との関係に注意します。法人は、決算期、営業外収益、法人税申告書、固定資産台帳との整合性が重要です。

個人事業主は「口座の整理」、法人は「決算期と申告書類の整合性」を特に確認します。

個人事業主は事業所得・雑収入として整理する

個人事業主が事業に関連して受け取る補助金は、事業所得の雑収入として整理します。

たとえば、小規模事業者持続化補助金を広告費やWebサイト制作費に充てた場合、事業活動に関連する収入です。そのため、事業所得の計算に含めます。

一方で、個人に対する生活支援的な給付金は、事業所得ではない場合があります。名称だけで判断せず、支給目的と事業との関連性を確認してください。

法人は営業外収益または雑収入として整理する

法人が受け取る補助金・助成金は、雑収入または営業外収益として整理することが一般的です。

本業の売上と混ぜないことで、損益計算書の見え方が正確になります。たとえば、売上高に補助金を含めると、実際の営業活動による売上が大きく見えてしまいます。

融資審査や経営分析でも、補助金収入は一時的な収入として見られることがあります。管理上も、通常売上とは分けておくのが合理的です。

青色申告・白色申告で必要な帳簿の考え方

青色申告でも白色申告でも、補助金・助成金を受け取った場合は帳簿への記録が必要です。

青色申告では、複式簿記により雑収入、未収入金、普通預金などを正確に記録します。白色申告でも、収入金額や必要経費を説明できるように資料を保存します。

保存すべき書類は次のとおりです。

書類保存目的
交付申請書申請内容の確認
交付決定通知書受給見込みの確認
実績報告書補助対象経費の確認
交付額確定通知書収益計上時期の確認
入金明細入金日と金額の確認
領収書・請求書対象経費の確認

税務調査では、帳簿の数字だけでなく、補助金の根拠資料も確認される場合があります。

事業用口座と個人口座を分けるべき理由

個人事業主は、事業用口座と個人口座を分けるべきです。

補助金が個人口座に入ると、帳簿への反映漏れが起きやすくなります。また、生活費の入出金と混ざることで、事業収入か個人のお金か判断しにくくなります。

補助金申請の段階で事業用口座を指定できる場合は、事業用口座に統一してください。すでに個人口座へ入金された場合は、事業主借で処理し、入金明細を保存しておきます。

補助金・助成金の仕訳でよくある失敗事例

補助金・助成金の仕訳ミスは、収益計上時期、消費税区分、経費との相殺、書類保存の4つで起きやすいです。

金額が大きい補助金ほど、1つのミスが税額や決算書に大きく影響します。ここでは、実務で特に確認する失敗事例を整理します。

補助金処理では、「入金されたから終わり」ではなく、通知書・税区分・対象経費まで確認します。

入金日だけで収益計上してしまう

最も多いミスは、入金日だけを見て雑収入を計上することです。

決算をまたがない場合は大きな問題になりにくいですが、交付額確定日と入金日が別の事業年度になる場合は注意が必要です。

たとえば、3月決算で3月に交付額が確定し、4月に入金された場合、4月の入金だけを見て翌期収入にすると、当期の収入が漏れます。

消費税を課税売上として処理してしまう

補助金を消費税の課税売上として登録するミスもあります。

国や自治体からの補助金・助成金等は、一般的に対価性がないため消費税の課税対象となりません。

会計ソフトの自動仕訳では、入金取引に課税区分が自動設定される場合があります。補助金の入金は、課税売上10%ではなく、不課税や対象外として登録してください。

補助対象経費と補助金収入を相殺してしまう

補助対象経費と補助金収入を相殺する処理も避けるべきです。

たとえば、Web制作費120万円に対して補助金80万円を受け取った場合、Web制作費を40万円だけで処理すると、実際の支出額が帳簿に残りません。

経費は経費として総額を記録し、補助金は雑収入として記録します。固定資産の場合は、さらに圧縮記帳の検討が必要です。

交付決定通知書・確定通知書を保存していない

補助金の通知書を保存していないと、収益計上時期や金額の根拠を説明できません。

特に必要なのは、交付決定通知書と交付額確定通知書です。交付決定は「補助対象として採択された段階」、交付額確定は「実績報告後に金額が確定した段階」です。

会計処理では、どの時点で収入として認識すべきかの判断に関わります。メール通知や電子申請システム内の通知も、PDFで保存しておくと安心です。

税理士に相談すべきケースと確認書類チェックリスト

補助金・助成金の処理は、少額で入金済みの雑収入なら自分で処理できる場合がありますが、決算またぎや固定資産が絡む場合は税理士に相談すべきです。

特に、圧縮記帳、返還義務、収益納付、消費税申告、法人決算が関係する場合は、自己判断で処理すると修正が大きくなります。

税理士に相談すべき境界線は、固定資産・決算またぎ・返還・消費税申告が関係するかどうかです。

自分で処理してよいケース

次のようなケースは、基本を理解していれば自分で処理しやすいです。

ケース判断
少額の補助金が入金済み雑収入で処理しやすい
決算をまたがない入金時処理でも大きなズレが出にくい
固定資産を取得していない圧縮記帳の検討が不要
消費税申告がない税区分ミスの影響が限定的

ただし、制度上の非課税扱いや特殊な給付金は別です。交付要綱は必ず確認してください。

税理士に相談すべきケース

次のケースでは、税理士に相談することをおすすめします。

ケース相談すべき理由
決算をまたいで入金された収益計上時期の判断が必要
固定資産を購入した圧縮記帳や取得価額が関係する
補助金額が大きい税額への影響が大きい
返還や収益納付がある過年度処理との関係がある
消費税申告をしている不課税処理や課税売上割合に注意が必要
法人決算に反映する申告書・別表との整合性が必要

相談時には、単に「補助金をもらった」と伝えるだけでは不十分です。通知書、入金日、対象経費、申請書類をまとめて渡してください。

確認すべき書類一覧

補助金・助成金の仕訳前に、次の書類を確認します。

書類確認する内容
公募要領・交付要綱対象経費、返還条件、収益納付
交付申請書申請した事業内容
交付決定通知書採択日、交付予定額
実績報告書実際に使った経費
交付額確定通知書確定金額、確定日
入金明細入金日、入金額
請求書・領収書補助対象経費の証拠
固定資産台帳設備取得時の管理

この書類がそろっていれば、税理士も判断しやすくなります。

会計ソフト入力前に整理する項目

会計ソフトへ入力する前に、次の項目を整理してください。

項目内容
補助金名どの制度から受け取ったか
入金額実際に入金された金額
交付額確定日収益計上時期の判断
入金日預金明細との照合
対象経費何に使った補助金か
消費税区分原則として不課税
固定資産の有無圧縮記帳の検討
返還条件返還義務や収益納付の有無

整理せずに入力すると、後から修正仕訳が必要になります。先に表でまとめてから登録するほうが、安全で早いです。

補助金・助成金の勘定科目と仕訳に関するよくある質問(FAQ)

補助金・助成金を受け取った方が迷いやすい質問について回答します。

Q
補助金・助成金の勘定科目は何ですか?
A

補助金・助成金の勘定科目は、原則として雑収入です。法人では営業外収益、個人事業主では事業所得の雑収入として整理することが多いです。

Q
補助金・助成金は入金時に仕訳すればよいですか?
A

入金時処理でよい場合もありますが、決算をまたぐ場合は交付額確定日を確認します。未入金でも収入計上が必要になるケースがあります。

Q
補助金・助成金は消費税の課税対象ですか?
A

補助金・助成金は、原則として消費税の課税対象ではありません。国税庁も、国や地方公共団体からの補助金・助成金等を課税対象とならない例として示しています。

Q
固定資産を買った場合も雑収入でよいですか?
A

あああ固定資産を買った場合も、補助金収入自体は雑収入として処理します。ただし、要件を満たす場合は圧縮記帳や総収入金額不算入の検討が必要です。

Q
補助金を返還した場合はどう仕訳しますか?
A

補助金を返還した場合は、返還時期や過去の処理に応じて仕訳します。当期分なら雑収入の取消、過年度分なら雑損失などで処理するケースがあります。

Q
個人事業主の個人口座に補助金が入った場合はどうしますか?
A

個人口座に入った場合は、事業主借を使って事業の帳簿に反映します。補助金が事業に関係するなら、入金口座にかかわらず事業所得の収入として整理します。

Q
補助金と経費は相殺してもよいですか?
A

補助金と経費は、原則として相殺せずに総額で処理します。経費は経費、補助金は雑収入として分けることで、取引実態を正確に帳簿へ残せます。

まとめ

補助金・助成金の勘定科目は、原則として雑収入です。

ただし、仕訳は「入金されたから雑収入で終わり」と単純に考えると危険です。交付額確定日、入金日、決算日、対象経費、固定資産の取得有無、返還条件を確認して処理する必要があります。

特に押さえるべき点は次のとおりです。

確認項目判断ポイント
勘定科目原則として雑収入
未入金の場合未収入金を使うケースがある
消費税原則として不課税
所得税・法人税原則として収入に含める
固定資産取得圧縮記帳を検討
返還時過去の処理と返還理由を確認
書類保存交付決定通知書・確定通知書を保存

補助金・助成金の処理で迷ったら、まず交付要綱、交付決定通知書、交付額確定通知書、入金明細、対象経費の請求書をそろえてください。

少額で決算をまたがず、固定資産も関係しない場合は、自分で処理できるケースもあります。一方で、固定資産、圧縮記帳、決算またぎ、返還、消費税申告が関係する場合は、税理士に相談するほうが安全です。

補助金は資金繰りを助ける制度ですが、受け取った後の会計処理まで整えて初めて、税務上も安心して活用できます。