中小企業の業務効率化や人手不足対策として、AIやクラウドサービスなどのデジタルツールを導入する動きが広がっています。
一方で、
「便利そうだけど導入費用が気になる」
「どのツールが補助金の対象になるのかわからない」
「申請前に何を準備すればいいのか不安」
という事業者様も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、AIツールやITツールの導入時に活用できる「デジタル化・AI導入補助金」について、申請前に押さえておきたいポイントをわかりやすく整理します。
動画で確認したい方はこちらもご覧ください。
https://youtu.be/19QbUmmYmxU
デジタル化・AI導入補助金とは?
「デジタル化・AI導入補助金」は、これまでのIT導入補助金の流れを受け、企業のデジタル化やAI活用を後押しするための制度です。
会計ソフト、受発注システム、決済システム、セキュリティ対策サービス、AIを活用した業務支援ツールなど、事業の効率化につながるITツールの導入費用について、一定の補助を受けられる可能性があります。
ただし、自由にどんなツールでも対象になるわけではありません。
補助対象となるのは、事務局の審査を経て登録・公開されているITツールです。
そのため、申請を検討する際は、まず制度の対象となる事業者かどうか、導入したいツールが補助対象かどうかを確認することが大切です。
申請できる事業者の主な条件
対象となるのは、中小企業や小規模事業者などです。法人だけでなく、一定の条件を満たす個人事業主も申請対象に含まれます。
対象になるかどうかは、業種ごとに定められた「資本金」または「従業員数」の基準で判断されます。
たとえば、主な業種では次のような基準があります。
製造業の場合は、資本金3億円以下、または従業員300人以下。
卸売業の場合は、資本金1億円以下、または従業員100人以下。
小売業の場合は、資本金5,000万円以下、または従業員50人以下。
このように業種によって基準が異なるため、自社が対象になるかどうかは事前に確認しておきましょう。
申請前に準備しておきたいもの
補助金申請では、ツール選びだけでなく、事前準備も重要です。特に次の2つは早めに対応しておくことをおすすめします。
GビズIDプライムの取得
補助金の電子申請には、GビズIDプライムが必要です。
取得には時間がかかる場合があり、目安として2週間程度を見込んでおくと安心です。申請直前になって慌てないよう、補助金の利用を考え始めた段階で取得しておくとスムーズです。
SECURITY ACTIONの宣言
情報セキュリティ対策への取り組みを示すため、SECURITY ACTIONの宣言も必要になります。
「一つ星」または「二つ星」の宣言を行い、IDを取得します。こちらも数日かかる場合があるため、GビズIDとあわせて早めに準備しておきましょう。
IT導入支援事業者との連携が基本
補助金の申請は、原則としてIT導入支援事業者と連携して進めます。
IT導入支援事業者とは、補助金の対象となるITツールを提供し、申請手続きもサポートする事業者のことです。
自社だけで申請書類を作成するというよりも、導入したいツールを扱っている支援事業者と相談しながら進めるイメージです。
そのため、補助金を活用したい場合は、まず「どの業務を改善したいのか」「どのようなツールを導入したいのか」を整理しておくと、支援事業者との相談が進めやすくなります。
採択に影響する加点項目
補助金には、申請内容によって加点対象となる項目があります。すべての枠で同じではありませんが、代表的なものとして次のような項目があります。
クラウド製品やインボイス対応製品の導入を検討している場合、通常枠で加点対象となることがあります。
また、賃上げに関する事業計画を策定し、従業員へ表明することも加点項目の一つです。
そのほか、IT戦略ナビwithの事前実施、健康経営優良法人やくるみん・えるぼし等の認定、成長加速マッチングサービスへの登録などが加点につながる場合があります。
加点項目は申請枠によって異なるため、申請前に最新の公募要領で確認しておきましょう。
主な申請枠の概要
デジタル化・AI導入補助金には、目的に応じて複数の申請枠があります。
通常枠
通常枠は、自社の業務効率化や売上向上のためにITツールを導入したい事業者向けの枠です。
たとえば、会計ソフト、顧客管理システム、受発注管理システムなど、日常業務の改善につながるツールが対象となります。
補助額は5万円から450万円までとされています。
インボイス枠 インボイス対応類型
インボイス制度に対応した会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフトなどを導入する場合に利用を検討できる枠です。
ソフトウェアとあわせて導入する場合、パソコンやレジなどのハードウェアが対象になることもあります。
補助額は最大350万円とされています。
インボイス枠 電子取引類型
取引先に対して、受発注ソフトのアカウントを無償で提供する場合などに利用できる枠です。
取引先も含めた電子取引の環境整備を進めたい場合に検討できます。
補助額は最大350万円とされています。
セキュリティ対策推進枠
サイバー攻撃や情報漏えいなどのリスクに備えたい事業者向けの枠です。
対象となるのは、サイバーセキュリティお助け隊サービスリストに掲載された登録サービスに限られます。
補助額は5万円から150万円までとされています。
AI・デジタルツールの活用例
補助金を活用してAIやITツールを導入すると、さまざまな業務の効率化が期待できます。
経理業務の効率化
クラウド会計ソフトを導入すると、銀行口座やクレジットカードの取引データを取り込み、AIが仕訳候補を自動作成してくれます。
これにより、手入力の時間を削減でき、月次決算の早期化にもつながります。
経理担当者の負担を減らしたい会社や、試算表を早く確認したい会社には特に相性のよい活用方法です。
営業・見積作成の効率化
営業支援システムや見積作成ツールを導入することで、見積書作成の手間を減らすことができます。
過去の取引データや商品情報をもとに、必要な情報を入力しやすくなり、提案までのスピードアップが期待できます。
営業担当者ごとに見積の作り方がバラバラになっている会社にも、業務標準化の効果があります。
店舗運営の省人化
セルフレジやPOSレジを導入することで、会計業務の省力化が可能になります。
レジ待ち時間の短縮、会計ミスの防止、売上データの分析などにも役立ちます。
人手不足に悩む店舗や、売上管理をより正確に行いたい事業者にとって、有効な選択肢になります。
申請から補助金受給までの流れ
申請の大まかな流れは次のとおりです。
まず、制度の内容や公募要領を確認します。
次に、GビズIDプライムの取得とSECURITY ACTIONの宣言を行います。
その後、IT導入支援事業者や導入するITツールを選定します。
準備が整ったら、支援事業者からの招待を受け、申請情報の入力や必要書類の添付を行い、交付申請を提出します。
採択され、交付決定を受けた後に、発注、契約、支払いを行います。
ここで注意したいのは、交付決定前に契約や支払いをしてしまうと、補助対象外になる可能性がある点です。必ず交付決定後に進めるようにしましょう。
導入後は実績報告を行い、その内容が確認された後に補助金が交付されます。
さらに、補助金交付後も一定期間、効果報告が必要です。期限内に報告を行わない場合、補助金の返還などにつながる可能性があるため注意が必要です。
まとめ
デジタル化・AI導入補助金は、AIツールやITツールを導入して業務効率化を進めたい中小企業にとって、非常に有効な制度です。
経理、営業、店舗運営、セキュリティ対策など、さまざまな場面で活用できる可能性があります。
ただし、申請にはGビズIDプライムの取得やSECURITY ACTIONの宣言、IT導入支援事業者との連携、対象ツールの確認など、事前準備が欠かせません。
「補助金を使ってAIやITツールを導入したい」とお考えの方は、早めに制度内容を確認し、自社に合ったツール選びを進めておきましょう。